All-on-4 ザイゴマインプラント治療 

今回は当協会理事 大多和徳人先生が2025年に行った、上下顎All-on-4手術症例の発表です。下記、ご参照ください。
左:初診時
右:最終補綴セット時
 
患者情報
氏名:M.Y. 様
66歳  男性

主訴:入れ歯が合わない,噛めない
現病歴:5年前、歯を抜き上下顎とも総義歯になった。その処置以降義歯の調整を繰り返したが義歯が動くことや食べづらさは改善されなかった。インプラント治療をかかりつけ医に相談したが、骨が不足しているため、できないと断られた。インプラント治療相談のため、2025年7月11日にAll-on-4 zygomaクリニックを受診。上下顎All-on-4を希望され同年12月に手術となった。

既往歴:心房細動、うっ血性心不全、糖尿病

常用薬:ラシックス、ジャディアンヌ、メインテート、エリキュース

生活歴:飲酒 機会飲酒
    喫煙 40年ほど、1日30本

術前顔貌所見

顔貌は左右対称。鼻翼の位置は…続きを読む

術前パノラマ画像所見

上顎および下顎、それぞれ臼歯部を…続きを読む

術後パノラマ画像所見

上顎に4本ザイゴマインプラントと…続きを読む

結果

All-on-4 治療を行う事で、主訴の改善…続きを読む

術前顔貌所見
(義歯着用)

顔貌は左右対称。鼻翼の位置は両側ほぼ対称。

上下顎ともに総義歯を使用している。スマイルラインが上顎義歯の切縁と同等の位置になっているため、スマイル時に上顎前歯が見えない。

義歯装着状態での安静時にWillis法を用いて咬合口径を確認すると、瞳孔から口裂の距離と鼻下点からオトガイ底までの距離は概ね同等であった。


術前側貌写真、セファロ写真

上下顎全て欠損。セファロ分析より、骨格は下顎前突傾向であることが分かった。


術前パノラマ画像所見

上顎皮質骨はかなり菲薄化しており、上顎洞との距離が近くなっている。下顎は前歯部相当部の歯槽骨は臼歯部相当部と比較すると骨はあるが、重度の骨吸収を起こしていることが認められる。


術前口腔内所見

上下顎ともに総義歯を作製している。上下ともに顎堤がかなり吸収していることが伺える。


術前CT画像所見

上顎は顎堤が顕著に吸収していることが明らかである。頬骨の厚みもあまりない。上顎洞粘膜に肥厚などは認めない。


治療計画

Bedrossianの分類より、ZoneⅠ〜Ⅲいずれにも十分な骨を認めないことから、Insufficient Boneと判断ができ、上顎にノーマルインプラントは困難であるため、All-on-4のためにはザイゴマインプラントが4本必要である。頬骨の厚みは十分である。下顎は歯槽骨量が前歯相当部にしかなく、ノーマルインプラント4本を埋入することが可能であると考えられる。また、上顎のザイゴマインプラントの埋入に関しては、 ZAGA分類のType2とType3が混在している。


術後口腔内所見

術直後の写真。上下顎のプロビジョナルレストレーションの口蓋側に4つのアクセスホールを認め、All-on-4である事が確認出来る。使用していた義歯をプロビジョナルレストレーションとして使用できるよう、臼歯部にレジンを盛り足し、フルバランスドオクルージョンになるように咬合調整が行われている。


術後パノラマ画像所見

上顎に4本のザイゴマインプラントと下顎は4本のノーマルインプラントを認める。同部にはテンポラリーシリンダーが装着されている。上下顎ともに顎堤の吸収が著しいため、術前のパノラマと比較すると歯槽骨のリダクションをあまりしていないことが伺える。

術後顔貌所見

患者都合により、写真は術後数日経過してから撮影している。顔貌は左右対称。スマイルラインと上唇の位置関係は改善してる。プロビジョナルレストレーションでは前歯の正中が一致している。

最終補綴物作製前の試適

プロビジョナルレストレーションでは咬合に問題はなかった。患者が遠方より来院されている方であったため、来院回数が少ないことから最終補綴作成前にCADで設計して作成したプロトタイプをセットし、確認をしていただいた。スマイル時の前歯の位置やスマイルラインが適切か、正中が一致しているか、上顎前歯の形態など、一つ一つチェックを行い、最終補綴に移行するにあたって気になることがないようにした。その他に患者さんが気になる点についても細く聞き取りを行い、CAD上で修正を行った。


最終補綴物作製

プロトタイプの試適から得られた情報を元に微修正を行った。また、歯牙の形態一つ一つにも患者様より要望があったため、修正しステイニングを行った。

最終補綴物
セット後の所見

顔貌はほぼ左右対称、リップサポートを認め、上唇は自然な豊隆を認める。上顎正中は顔貌の正中に一致している。

パノラマではインプラント周囲に異常所見は見られず、クラウンがモノリシックジルコニアに合着されていることも分かる。


最終補綴物セット後の
口腔内所見

最終補綴物セット後の写真。上下顎のモノリシックジルコニアの上部構造である事が確認出来る。またアクセスホールを計8つ認め、All-on-4である事が確認出来る。上顎と下顎の正中と一致している。


結果

上下顎All-on-4治療 を行う事で、咬合機能及び審美の回復を行うことができた。補綴装置が動かなくなったことで食べ物も種類問わず食べられるようになったとのことで、患者様からも喜びの声をいただいた。

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